プリントだけが日本の技術じゃない!!  

和柄というと梅の花や桜、うさぎなどが人気ですが、日本の織技術にどんなものがあるか知っていますか?

織機(しょっき)から作り出される模様で一番簡単なのは格子模様です。
これは経糸(たていと) と緯糸(よこいと)が交互に織られている平織りと言われるものです。


みなさん、織物とはどのように織られているかご存知ですか?

機織り(はたおり)体験をされた方は知っていると思いますが、織り機の前に立つと経糸が織機にセットされてます。
生地の幅を決めてくる経糸(たていと)を織り機にセットすることを 「整経」(せいけい)と言います。
一言でセットすると言っても、やることは色々。
必要な本数のたて糸だけをセットするわけではありません。
長さ、張力なども決めていきます。

IMG_4561

経糸をセットする際、綜絖(そうこう)という、たて糸とよこ糸を交差させるために必要になる器具(たて糸を通す穴がついた針金でできた物)が、たて糸の本数分必要となります。
それがこの上の写真。
向こう側と手前と、二列あるように見えませんか?
それは後程。

 
この綜絖(たて糸が通った棒)をはめた枠を綜絖枠と言います。
平行に張られた糸は綜絖枠によって、上に上がるグループと下に下がるグループに分かれます。
これが写真にあった前列と後列があったわけです。 

image

  たとえば、白のたて糸が5本(A〜E)あるとします。
ピンクのよこ糸は1本おきに、白のたて糸をまたいでいます

機織り機で、3の横列のように格子を作る場合

たて糸AとCとEがグループされた綜絖枠が作られ、上にあがります。
それと同時にたて糸BとDがグループされた綜絖枠が下がります。

この上下に分かれた間を杼(ひ:シャトルとも言う)が走り、ピンクのよこ糸を通します。
この時の開いた道を杼口(ひぐち)と言います。
下になったBとEの上を走ったのでピンクはBとEの上だけに見えるようになります。
しっかり糸の付け根まで入るよう 筬(おさ)でトントンっと整えます。
くしの様なものです。

格子を作るにはこれを交互に繰り返せば格子模様ができ、平織りの完成です。
 
これが織りの基本です。平織、朱子織、綾織とあわせて三原組織と言われています。

機織り職人は、この上になる糸と下になる糸の本数を1本づつの交互ではなく、
まとめて2本3本と変化させてり、他の物を挟み込んで編み込むなどして、生地に表情を出していきました。 

 NS-4251-4

ヨロケ織が醸し出す風合い

ヨロケ織とは、主によこ糸の張力を変える事によりたて糸が
ヨロケて風合いを出します。
ヨロケるとは、糸がまっすぐではなく波を打ったように
"うねうね"することを言います。着物や帯によろけ縞というのがありますが縦にヨロケています。 最近では優しい風合いがストールで人気です。


2015-08-12-11-50-33
 スピーチバルーンが取り扱うヨロケ織は よこ糸がよろけているんです。
だから、縦縞ではなく横縞なんです。ブックカバーにすると渋くてかっこいい。
 
たて糸の張力に変化をつけてよこ糸の密度差を出します。
そうすることにより、よこ糸に"うねうねの波"が現れてきます。

 そして、これまでの技術では難しかった
"ヨロケているよこ糸を部分的にまっすぐにする "

ことが可能になり、この柄が生み出されました。
 

2015-08-12-12-01-57
ブックカバーだったら、お近くの本屋さん、紀伊国屋書店さんなどでお取り寄せも出来ます。
手に取って確かめてみて下さい。この風合い気に入りますよ。